Canonical、Anbox Cloudを発表、Androidにクラウドの拡張性を提供

by cmoullec on 21 January 2020

Canonical(本社:英国・ロンドン、CEO:Mark Shuttleworth)は本日、Anbox Cloudを発表しました。これは、Android1をゲストOSとして使用してワークロードをコンテナ化し、企業によるクラウドからのアプリケーション配信を可能にするプラットフォームです。Anbox Cloudを利用することで、企業やサービスプロバイダーは、よりセキュリティの高い方法でデバイスの機能に関係なく、大規模なモバイルアプリケーションを配信することができます。Anbox Cloudのユースケースには、クラウドゲーム、企業の業務用アプリケーション、ソフトウェアのテスト、モバイルデバイスの仮想化などが挙げられます。

コンピューティング、ストレージおよびエネルギーの消費量が大きいアプリケーションをデバイス(x86およびArm)からクラウドにオフロードすることによって、エンドユーザーは高度なワークロードをデバイスに直接ストリーミングして利用できるようになります。開発者は、性能およびインフラコストをより細かく管理し、ユーザーの要求に基づいて柔軟に拡張できるプラットフォームを通じてオンデマンドのアプリケーション体験を提供することができます。

Canonicalの製品担当ディレクターであるStephan Fabelは次のように述べています。「5Gネットワーク、そしてエッジコンピューティングの登場により、何百万人ものユーザーが、自分の好きなプラットフォーム上で、非常に豊富なオンデマンドのAndroidアプリケーションにアクセスできるようになります。これによって企業は、消費電力を抑えた経済的な方法で、高性能かつ高密度のコンピューティングを任意のデバイスにリモートで提供できます。」

クラウドゲームが盛り上がりを見せるなか、Anbox Cloudは、ゲームユーザーが求める応答性と超低遅延を維持しながら、グラフィックとメモリを集中的に使用するモバイルゲームを膨大な数のユーザー向けに拡張することを可能にします。Anbox Cloudでは、ゲームをローカルデバイスにダウンロードする必要がなくなるため、ユーザーはオンデマンドでゲームを利用できるようになります。一方でゲーム開発者は、保護されたコンテンツ配信チャンネルを確保することができます。

Anbox Cloudを利用することで、企業はデータのプライバシーとコンプライアンスを保証しながら従業員のデバイスに業務用アプリケーションを直接配信できるため、デジタル変革のスムーズな推進が可能になります。また、さまざまなフォームファクタやOSで利用可能な1つのアプリケーションを提供することで、社内のアプリケーション開発コストを削減できます。

さらに、開発者はアプリケーション開発プロセスの一環としてAnbox Cloudを活用し、さまざまなテストシナリオで何千台ものAndroidデバイスをエミュレートしたり、CI/CDパイプラインに統合したりすることができます。

Anbox Cloudは、無限の容量、高い信頼性と弾力性を有するパブリッククラウド、あるいは低遅延とデータプライバシーが優先されるプライベートクラウドのエッジインフラでもホストできます。パブリッククラウドおよびプライベートクラウドのサービスプロバイダーは、Anbox Cloudを自社サービスに統合し、PaaSまたはSaaSモデルでのモバイルアプリケーション配信を行えます。また通信プロバイダーは、4G、LTE、5Gモバイルネットワークの顧客向けに、仮想化されたモバイルデバイスに基づいた革新的な付加価値のあるサービスを生み出すことができます。

メディアの皆様への注記:
Anbox CloudはCanonicalのさまざまな技術に基づいて構築されており、Ubuntu 18.04 LTSカーネル上でAndroidを実行しています。コンテナ化は、セキュアで隔離されたLXDシステムコンテナによって提供されます。LXDコンテナは軽量のため、仮想マシンでのAndroidエミュレーションと比較すると2倍以上のコンテナ密度(ただしストリーミング品質やワークロードの複雑さに応じて変化)が実現できます。コンテナ密度が高いほど拡張性が向上し、ユニットエコノミクスが低減されます。MAAS(Metal as a Service)はリモートのインフラプロビジョニングに活用されており、Jujuは自動化ツールによって展開や管理の簡略化と運用コストの削減を実現します。また、Anbox Cloudには Ubuntu Advantageサポートプログラムが含まれており、最大10年間の継続的なサポートとセキュリティアップデートが提供されます。

Canonicalは、大手のクラウドコンピューティングインフラプロバイダーであるPacketと提携し、Anbox Cloudをオンプレミス、または世界各地の特定エッジロケーションに展開します。また、Anbox Cloudで最高の体験を提供するために、ハードウェアパートナーとしてAmpere(ARM)およびIntel(x86)と協力しています。これらのハードウェアは、最高の密度、GPUモデル、コスト効率を提供できるよう最適化されており、Anbox Cloud上でサービスを構築するお客様の市場投入までの時間を短縮します。

パートナーからの声:
「AndroidおよびArmネイティブのアプリケーションが増え続ける中、開発者は容量の拡張性、信頼性の高い性能、そして展開の柔軟性を提供する実績のあるシステムを必要としています。AmpereのArmベースのサーバーとCanonicalのAnbox Cloudのようなプロビジョニング済みの仮想化ソリューションを組み合わせることで、より優れたユーザー体験を提供するために開発者が求める柔軟かつ高性能でセキュアなインフラが実現します。」
Ampere 、製品担当SVP、Jeff Wittich氏

「Canonicalが新たに発売したAnbox CloudソリューションにおいてIntelのVCAC-R(Visual Cloud Accelerator Card-Render)が採用されたことにより、Androidデバイスでのクラウドおよびモバイルのゲーム体験が強化され、現在そして来る5G時代の新たなビジネスチャンスを支えることが可能となります。」
Intel2 、Data Platforms Group担当バイスプレジデント兼Visual Cloud Division部門ゼネラルマネージャー、Lynn Comp氏

「Anbox CloudによりCanonicalは、強力で使いやすいディスラプティブ(破壊的)なソリューションを市場に投入しようとしています。小型で消費電力の小さなデバイスが世界に溢れている今、近くのクラウドサーバーにアプリケーションをオフロードすることにより、効率化、そして新しい体験を生み出すための数多くの機会がもたらされます。5Gの世界的な展開と合わせてAnbox Cloudチームが発展していくサポートができることを大変嬉しく思います。」
Packet、共同創設者兼CMO、Jacob Smith氏
<以上>

Anbox Cloudに関する詳細情報については、ウェブサイト(anbox-cloud.io)をご覧いただくか、Intelとの共同ホワイトペーパー(英語)「Cloud gaming for Android: Building a high performing and scalable platform」をご覧ください。

Canonicalについて
Canonicalは「Ubuntu」を提供する企業です。Ubuntuは、ほとんどのパブリッククラウドのワークロードに使われているOSであり、スマートゲートウェイ、自動運転車、高度なロボットなどの最先端分野でも使用されています。Canonicalは、Ubuntuの商用ユーザ向けにエンタープライズセキュリティ、サポート、サービスを提供しています。Canonicalは2004年に設立された非公開企業です。
詳細は以下のウェブサイトからご覧いただけます。
https://jp.ubuntu.com/
https://www.ubuntu.com/

1 AndroidはGoogle LLCの商標です。Anbox Cloudは、Android Open Source Projectを通じて提供されているアセットを使用しています。
2 IntelおよびIntelロゴは、アメリカ合衆国および/またはその他の国におけるIntel Corporationまたはその子会社の商標です。

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