2022年のOpenStackの課題
by Canonical on 4 February 2022
2022年明けましておめでとうございます!花火は終わり、シャンパンも底をつきました。仕事に戻らなければなりません。でも皆さんに再び会えるのはうれしいことです。2021年はOpenStackにもUbuntuユーザーにも良い年でした。
何よりもOpenStackのデプロイメントにおいてUbuntuが人気ナンバーワンのオペレーティングシステム(OS)になりました。次にOpen Infrastructure Foundation(OIF)が本番環境のOpenStackクラウド数の飛躍的な増加を報告しました。利用者が増え、最も便利なプラットフォームが決まったことになります。
しかし2022年には多くの組織が遅かれ早かれ、同じ課題に直面すると思われます。どんな課題なのか、続きをお読みください。
エッジのOpenStack
今後、情報技術(IT)インフラの中でエッジが最も開発の盛んな分野になることは間違いありません。電気通信会社、工場、自動車メーカーをはじめ、多くの企業がすでにエッジ戦略を推進しています。でもOpenStackは本当にエッジに向いているのでしょうか?
OpenStackは従来型データセンター向けのinfrastructure-as-a-service(IaaS、サービスとしてのインフラストラクチャ)として設計されました。分散したコンピュータ、ネットワーク、ストレージリソースを管理し、プールにまとめた上で、セルフサービスポータルを通じた仮想リソースのオンデマンドプロビジョニングを可能にするものです。この点で優秀さが実証され、今ではオープンソースのクラウドインフラを構築する際の事実上の標準となっています。
しかしエッジには、特に規模や数量に関して従来のデータセンターとはまったく異なる課題があります。従来のデータセンターアーキテクチャではサイト数が少なく、それぞれに高密度サーバーが数百もあります。逆にエッジではサイトが何千もありますが、それぞれは少数の小さな低コストデバイスにすぎません。
このためエッジで利用するには、小さなサイズと大きな数量にOpenStackを最適化する必要があります。この課題を無視したアップストリームおよび商用のOpenStackプラットフォームはすべて、ここ数年間で商業的な普及が滞っています。エッジに最適化したOpenStackプラットフォームは、フットプリントが小さく、インストールが簡単で、しかもDay-2オペレーション(運用管理)の完全な自動化でメンテナンスが抑えられている必要があります。
最初は小さく、次第に大きく
もともとOpenStackは主に電気通信会社、地域的なパブリッククラウドプロバイダー、金融会社、研究機関などの大企業に利用されていました。何百ものノードを持つOpenStackクラスターも珍しくありませんでした。2022年にはこの点が変化します。
2022年には、非常に小規模にデプロイでき、ニーズに応じて柔軟に拡大可能なOpenStackに対する需要が高まるでしょう。これは昨今、パブリッククラウドからオンプレミスのインフラへワークロードを引き戻す組織が増えているためです。この傾向は中小企業についても言えます。中小企業は通常、それほど多くのビジネスアプリケーションを実行しません。したがって最初から大型のプライベートクラウドインフラも不要です。
VMwareやProxmoxを長年利用し、小型の仮想化クラスターを実行している企業も同じです。自社インフラを維持するコストが着実に増えるにつれ、そのような企業は否応なくオープンソースの代替策を検討しますが、数十のノードに対応するOpenStackクラウドをゼロから構築するのは無駄です。つまり本当にコスト効果の高いOpenStackプラットフォームは規模の拡大に対応する必要があります。最初は小さく、次第に大きく、です。
どこでも同じプラットフォームを使用
もちろん、これは常にオンプレミスのインフラの問題でした。パブリッククラウドなら簡単です。本番環境、CI/CD(継続的インテグレーション/継続的デリバリー)のパイプライン、開発用仮想マシン(VM)のすべてが同じプラットフォームで動作します。開発者もDevOpsも同じツールでビジネスアプリケーションの試験、デプロイ、運用を実行します。すべてがうまく統合され、システム全体がスイスの時計のように噛み合います。
したがってOpenStackに移行しても同じ体験を確保することが重要です。しかしこれは簡単ではありません。チームメンバーそれぞれに専用のOpenStackクラスターを与え、自由に遊んだり実験したりできるようにするには(可能だとしても)、非常に高いコストがかかります。大半の商用OpenStackプラットフォームは少なくとも数ノードを必要とし、有料サブスクリプションが強制であるためです。
だからこそシングルノードから大規模なクラスターまで、どんな規模でも使えるOpenStackプラットフォームで標準化することが必須なのです。同じOpenStackプラットフォームを複数の本番環境、CI/CDパイプライン、開発用ワークステーションで使用すれば、摩擦がなくなり、設定ミスや運用ミスのリスクも減り、開発者の生産性が上がります。
2022年のクラウド戦略にMicroStackを活用
成功戦略の調整や最適化に遅すぎることはありません。
MicroStackは、エッジや小規模なプライベートクラウドに適した純粋なアップストリームOpenStackプラットフォームであり、わずかな労力でインストールやメンテナンスが可能です。
初心者向けのチュートリアルに従ってMicroStackを使ってみましょう。
または
具体的な商用プロジェクトのサポートについてCanonicalにお問い合わせください。
最後にもう一度、2022年も良い年になりますように!
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