Canonical、Xilinxと提携して適応型SoCの開発を推進

by Canonical on 17 December 2021

企業が複数のXilinxデバイスファミリーを使用してIoTデバイス評価キット開発からIoTデバイス生産にスムーズに到達できるようにする戦略的なコラボレーション

2021年12月14日:CanonicalとXilinxは本日、Xilinx Zynq UltraScale+評価ボード、および生産対応のKriaシステムオンモジュール(SOM)に最適化したUbuntuイメージを公開しました。両社は、企業グレードのLinuxを適応型SoCの分野に導入し、すべてのIoT垂直市場にわたって新しいソフトウェア定義デバイスの開発を加速するために協働します。目標は、評価/スターターキットでのプロトタイピングから生産グレードのSOMまで円滑に開発を進め、コスト削減と時間短縮を実現することです。

構成の自由な適応型コンピューティングデバイス、すなわち従来のハードウェアのプログラマビリティ、FPGAの柔軟性、組み込みプロセッサのソフトウェアプログラマビリティを兼ね備えたデバイスの需要は、過去10年間に急増しました。Xilinxは、産業、ビジョン、医療など各種の垂直市場で広く採用されているZynq UltraScale+ MPSoC製品ファミリーでこの市場ニーズに対応しています。XilinxとCanonicalは現在、Xilinx Zynq UltraScale+ MPSoCベースの一部のプラットフォームでUbuntuを利用可能にし、信頼性が高く実績のあるUbuntu OS環境を取り入れるため、共同で作業しています。

ソフトウェア定義デバイス

ビジョンを使用するロボティクス、機械学習ベースの人工知能、5G、およびエッジにより、急速に進化するアルゴリズムを取り入れ、Xilinxデバイスの柔軟性を活用できます。適応型SoCは再構成が可能なため、ソフトウェア定義デバイスの作成において革命的な進歩をもたらすことができます。ファームウェアの抽象化とソフトウェアのモジュール性により、すべての部品を単一のアプリケーションカタログに統合できることは、XilinxとCanonicalのコラボレーションにより得られた主要な結果の1つです。IoTアプリストアにより、非常に堅牢でミッションクリティカルなOTA更新機構を利用して、アプリケーション、オペレーティングシステム、ファームウェアのビットストリームを更新できます。これにより、エンタープライズはデバイスの現場でのライフサイクル全体を管理し、最長10年間の長期サポートのコミットメントをCanonicalから受けることができます。

Xilinxで産業、ビジョン、ヘルスケア、科学担当シニアディレクターを務めるChetan Khona氏は次のように述べています。「Xilinxは組み込み設計を簡素化するとともに、開発者が適応型コンピューティングの能力を活用できるようにすることを目指してきました。  C++、Python、ROS 2、または各自の好む機械学習フレームワークをUbuntu上で使い慣れている開発者は、従来型のFPGA開発を行う必要なしに、Xilinxの利点を簡単に活用できます。これが、CanonicalとXilinxが推進している方向性です。」

より高速で、単純で、費用対効果の高い開発

新しい組み込みシステムの開発には多くの時間、経費、リソースが必要です。ハードウェア設計の終了後に行われるうちで最も時間を要し、他の作業の妨げになり得るタスクの1つは、オペレーティングシステムを有効にすることです。このため、オペレーティングシステムが既に有効な、適切なリファレンスプラットフォームを選択することが重要となります。複数のXilinxプラットフォームでUbuntuが検証済みなら、最終顧客が自社のカスタムXilinx基板で、信頼性が高い組み込みオペレーティングシステムを検証し、サポートするためのコストを引き下げることができます。

CanonicalでSilicon Alliancesのディレクターを務めるAniket Ponksheは次のように述べています。「XilinxとCanonicalの関係により、XilinxのSoCの最新機能に対応したソフトウェアパッチが標準のUbuntuイメージで使用可能なことが保証されます。新しいソリューションのプロトタイプを作成するときでも、現場のXilinx製品すべてに展開する準備を整えたときでも、Xilinxにより最適化されたUbuntuイメージにより、中核アプリケーションに集中できるため、運用が簡素化されます。」

ハードウェアとオペレーティングシステムの安定した組み合わせにより、実際に動作するソリューションの開発に、アプリケーション分野での多くのカスタム作業を関与させることができます。snapストアでは、堅牢なサードパーティのエコシステムから提供された10,000を超える、そのまま使用可能なアプリケーションにアクセスできます。

Aniket Ponksheは次のように付け加えています。「運用コストの削減だけでなく、業界の大手各社がデバイス資産の全体を、自社の不安定で完成度が低い組み込みLinuxからUbuntuに移行することで、開発期間を数四半期も短縮しています。」

評価から本番運用までに組み込まれたセキュリティ

IoTやエッジの市場は急速に進歩しており、開発者はアプリケーションの開発に集中し、貴重な開発リソースをビジネスケースに応じて振り分ける必要があります。このため、選択したハードウェアプラットフォームで開発を迅速化するには、テスト済みで実績があり、信頼性が高いオペレーティングシステムが不可欠です。しかし、セキュリティと安定性は製品のリリース時にのみ要求されるのではなく、製品のライフサイクル全体を通して必要です。このためCanonicalは最新のXilinxパッチを各種のUbuntuバリアント、たとえばUbuntu Desktopやコンテナ化されたUbuntu Coreなどと統合し、定期的にテストしています。

使い始めるには

Xilinx Zynq UltraScale+ MPSoCベースの評価ボードとKria本番用SOMに最適化されたUbuntu Desktopイメージを使用し、UbuntuをXilinxにインストールします。最新のソフトウェア機能に対応するため、テストと更新が定期的に行われます。

Canonicalについて

Canonicalは、コンテナ、クラウド、ハイパースケールコンピューティング分野の主要OS「Ubuntu」を提供する企業です。Ubuntuは、ほとんどのパブリッククラウドのワークロード、新しいスマートゲートウェイ、スイッチ、自動運転車、高度なロボットで使用されています。Canonicalは、Ubuntuの商用ユーザー向けにエンタープライズサポートとサービスを提供しています。Canonicalは2004年に設立された非公開企業です。

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