Google Cloud用Ubuntu Proのリリース
by Canonical on 6 July 2021
2021年6月14日:CanonicalとGoogle Cloudは本日、Ubuntu Pro on Google Cloudを公開しました。これは、すべてのGoogle Cloudユーザーが使用可能な新しいUbuntu製品です。Ubuntu Pro on Google Cloudを使用すると、最大10年間にわたって、数千ものオープンソースアプリケーションをカバーするセキュリティパッチにいつでもアクセスでき、規制された環境でワークロードを実行するために不可欠な、重要なコンプライアンス機能も使用できます。
Google Cloudは、デスクトップからKubernetesやAI/MLに至るまで、革新的な開発者向けソリューションを提供するため、Canonicalと長年にわたって提携してきました。この共同開発の流れに沿って、Google CloudとCanonicalはよりセキュアで、強化され、投資対効果の高い開発運用環境として、Ubuntu Pro on Google Cloudを生み出しました。これにより、すべてのエンタープライズが自社のクラウド採用を促進できます。
Google Cloudの計算担当副社長兼ゼネラルマネージャーであるJune Yang氏は、次のように述べています。「エンタープライズのお客様は、自社の中核のビジネスクリティカルで顧客向けのアプリケーションを実行するため、Google Cloudを採用するようになりつつあります。Ubuntu Pro on Google Cloudの可用性により、当社のエンタープライズ顧客は、自社のミッションクリティカルなワークロードに必要なセキュリティの強化とコンプライアンスサービスを使用できるようになります。」
Ubuntu Pro on Google CloudはUbuntuのプレミアムバージョンで、エンタープライズと本番運用での使用を対象としています。開発者や管理者向けのセキュアな開発運用環境となり、すべてのITシステムの基本的な柱の1つであるセキュリティに対処します。標準のUbuntuコンポーネントを基礎としていますが、次のような追加サービスが最初からアクティブ化されています。
- Ubuntuの汎用リポジトリの高度および重要なCVEのパッチ適用。Node.js、MongoDB、Redis、Apache Kafkaなどを始めとして30,000を超えるパッケージをカバーしています。
- 10年間の保守契約(18.04 LTS以降。Ubuntu Pro 16.04 LTSの保守は8年間です)。
- カーネルへのライブでのパッチ適用により、VMインスタンスのセキュリティが強化され、稼働時間が延長されます。
- 公式認定済みのコンポーネントにより、FedRAMP、HIPAA、PCI、GDPR、ISOなどのコンプライアンス制度に従う運用環境を実現できます。
- 2021年後半に提供予定の機能:認定済みのFIPS 140-2コンポーネント、セキュリティコマンドセンター用のセキュリティダッシュボード、マネージドアプリなど。
- Ubuntuに含まれる、すべての標準の最適化とセキュリティ更新。
実運用でのUbuntu Pro on Google Cloud
Gojekはタクシー配車サービス企業から技術企業へと発展し、支払、eコマース、輸送の分野にわたって20を超えるサービスのスイートを提供しています。同社のアプリケーションは、東南アジア全体で数百万人のユーザーにサービスを提供しています。
GojekのCI/CDおよびFinOps担当エンジニアリングマネージャーであるKartik Gupta氏は、次のように述べています。「当社は、包括的なテストを行い、Ubuntu 16.04 LTSワークロードをUbuntu 20.04 LTSに移行するための時間が必要でした。そのため、Ubuntu 16.04 LTSの標準の保守期間の延長が必要となりました。Ubuntu Pro on Google Cloudによりこの期間の延長が可能になり、当社の16.04のワークロードをUbuntu Proに移行するにあたり、カーネルへのライブでのパッチ適用と、当社の主要なオープンソースコンポーネントに対するセキュリティのカバーの改善から恩恵を受けることができます。」
顧客がコストと費用の削減をより的確に見通せるようにするため、Ubuntu Pro for Google Cloudは透過的で革新的な価格モデルを採用しています。たとえば、Ubuntu Proは平均的なコンピューティングのコストの3~4.5%で、使用するコンピューティングリソースが多くなるほど、Ubuntu Proに支払う割合が小さくなります。顧客は、調達プロセスの合理化のためにUbuntu ProをGCP ConsoleやGoogle Cloud Marketplaceから直接購入して、Canonicalが提供するこれらの商用機能にすぐにアクセスできます。
CanonicalのクラウドGTM担当副社長であるAlex Gallagherは、次のように述べています。「2014年以来、CanonicalはGoogle Cloudのお客様にUbuntuを提供してきました。当社はセキュリティのカバー範囲を拡大し続け、優れた運用効率や、Google Cloudの機能とのネイティブな互換性を実現していきます。CanonicalとGoogle Cloudとの提携によりUbuntu Proが利用可能になることには大きな期待を寄せています。Ubuntu Pro on Google Cloudはオペレーティングシステムのセキュリティにおける新しい標準を設定し、Google Cloudへの移行を促進する製品です。」
開始方法
Ubuntu Pro on Google Cloudは簡単に使い始めることができます。これらのプレミアムイメージは、Google Cloud ConsoleでオペレーティングシステムとしてUbuntu Proを選択すれば、Google Cloudから直接お求めになれます。
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