OpenStackのPoC?もちろんです!

by Canonical on 17 October 2025

どんなITプロジェクトでも、まず概念実証(PoC)環境を設定するのが普通です。これにより組織がテクノロジーを理解し、アイデアを確認し、潜在的なリスクを特定します。しかしOpenStackの場合、プロジェクト全体が複雑なため、PoCの設定が厄介でした。うれしいことに、ついにSunbeamCanonical OpenStack(Sunbeamベース)がこの長年の問題を解決しました。

このブログ記事では、OpenStackのPoCを設定するCanonicalの実証された手順を説明します。特に、適切なツールを使用することがプロジェクトの総合的な成功にとって重要であることを示します。主要プラットフォームを詳しく検討し、OpenStackのPoCを簡単に立ち上げる方法を確認しましょう。

OpenStackのPoC – 正しい設定が大切

次のような経験はありませんか?

勤め先の会社が長年、自社開発の仮想化ソリューションを使っているとします。社内のニーズは満たしていますが、年を経るにつれ、いくつかの問題が生じています。たとえば総所有コスト(TCO)の上昇、ベンダーロックイン、技術的自律性です。

でも、あなたは解決策を知っています。長年、IT業界のさまざまな動向を観察し、未来がクラウドコンピューティングとオープンソースにあることを完璧に見抜いているからです。さまざまなクラウドプラットフォームの中で、成熟性、安定性、包括性で群を抜いているのがOpenStackだと知っているからです。

そうですよね?でなければこのブログを読むはずがありません。

前述の問題に頭を悩ませている経営幹部に、再びOpenStackを提案しましょう。ある日、幹部たちは耳を傾け、アイデアを受け入れるかもしれません。

「わかった!動くPoCを持ってきたら話そう。」

ゴーサイン、予算、スケジュール……プロジェクトの成功に必要なものはすべて揃いました。ついに、会社のITインフラストラクチャを変革するチャンスの到来です。

腕の見せどころです。チャンスは1回きり。ちゃんとしたOpenStack PoCを用意しましょう。

適切なツールを使用する

まずはここからです。すでにある程度の調査はしていますね。OpenStackの資料を読み、YouTubeの動画を見て、インストールしてみたかもしれません。OpenStackを1回で成功させるのが難しい理由も知っているでしょう。

はっきり言えば、OpenStackは複雑です。多くの組織が導入を試み、失敗しました。複雑さを抑えると宣伝するプロジェクトさえ、その約束を果たしませんでした。だからこそきちんと調査し、適切なツールを使用することが重要なのです。

Canonicalは、この問題を熟知しています。これまで何百社ものお客様を助け、大規模な実運用向けのOpenStackクラウドを構築しました。Canonicalのツールも含め、OpenStackの導入と運用のツールは絶え間なく進化しています。多くの組織が第一歩から苦戦しています。これを踏まえてCanonicalはSunbeamプロジェクトを立ち上げました。

Sunbeamの目的は、OpenStackの参入障壁を大幅に引き下げることです。インストールを円滑に進め、経験のないユーザーを助け、1時間以内に運用を開始できるようにします。DevStackやPackstackなどの実運用向けでないソリューションと異なり、Sunbeamのアーキテクチャは規模に影響を受けません。OpenStack PoCプロジェクトには最適です。なぜなら実運用環境にデプロイしてもまったく同じ結果になるからです。

信じられませんか? 4つの簡単な手順を一緒にやってみましょう!

Canonical OpenStack(Sunbeamベース)を使用したOpenStack PoC

注:最新情報は製品ドキュメントをご覧ください。

以下のハードウェア要件を満たす物理マシンを確保します。

  • 4コア以上のAMD64プロセッサ
  • 16GB以上のRAM
  • 100GB以上のSSDストレージを持つrootfsパーティション
  • 新しくインストールしたUbuntu 24.04 LTS
  • インターネットへの無制限アクセス

ターミナルで以下のコマンドを実行します。

1) Sunbeamのインストール:

sudo snap install openstack

2) マシンの準備:

sunbeam prepare-node-script --bootstrap | bash -x && newgrp snap_daemon

3) クラウドの起動:

sunbeam cluster bootstrap --accept-defaults --role control,compute,storage

4) サンプル使用向けのクラウド設定:

sunbeam configure --accept-defaults --openrc demo-openrc

これで完了!PoC環境は動作を開始しました。

以下のコマンドを実行すると、クラウドの上で最初のVMが起動します。

sunbeam launch ubuntu --name test

OpenStackダッシュボードのサンプル

必要ならサポートを頼む

簡単でしたね。でも現実はそうはいきません。OpenStack PoCに対して経営幹部が要望を出す可能性があるからです。よくあるのは、マルチノード、高可用性のクラスター、もっと複雑なネットワーク設定などです。結局のところ、PoCは既存のインフラストラクチャと似た機能を果たさなければならないのですから無理もありません。

うれしいことに、CanonicalのOpenStackドキュメントにはこのような高度なシナリオに対応する包括的な説明があり、求められる機能や特長を自分で構築できます。情報が足りなかったり、何かの問題を解決しなければならなかったり(PoCにはよくあります)した場合は、公式コミュニティフォーラムが大いに役立ちます。

さらに、ちゃんと動くだけでなく、完璧なOpenStack PoCが求められても大丈夫。必要であれば、仕様どおりのものを備えたOpenStack PoCをクラウド専門家がご用意します。

CanonicalはこのほどOpenStack Pilotパッケージを発表しました。このパッケージでは、3~6台の物理マシンにCanonical OpenStack(Sunbeamベース)を導入できます。豊富な専門知識を持ち、OpenStack市場が生まれた当初から実績を積んでいるCanonicalに任せれば安心です。プロジェクトが手に負えなくなることはありません。

OpenStack Pilotパッケージの詳細は、Canonical OpenStackデータシートをご覧ください。

今後の展望

OpenStackの導入を成功させるには、ちゃんとしたPoCが不可欠です。落ち着いて今後の計画を立てましょう。プロジェクトの現状によっては、このブログに書かれた情報が、スケジュールと予算の両方に影響を与えるかもしれません。

検討においては、以下のリソースもぜひご利用ください。

何はともあれ、PoCの成功をお祈りします。次の段階でまたお会いしましょう!

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