Canonical、組み込みディスプレイの基盤としてUbuntu Frameを発表
by Canonical on 18 November 2021
CanonicalのUbuntu Frameは、使いやすさ、信頼性、セキュリティを備えたエッジデバイス向けのフルスクリーンシェル。Canonicalが10年間のサポートも提供します。

2021年10月6日:Canonicalは、インタラクティブキオスク、デジタルサイネージソリューションなど、グラフィカル出力を必要とする製品向けのグラフィカルアプリケーションを容易に構築および展開するソリューションとして、Ubuntu Frameをリリースしました。Ubuntu Frameがあれば、開発者はDRM(デジタル著作権管理)、KMS(キー管理サービス)、入力プロトコル、セキュリティポリシーといった部分的なソリューションの統合と保守によってディスプレイを強化あるいは保護する必要がありません。この結果、管理するコードが減り、未検証のコードにおけるバグや脆弱性の可能性も低くなり、ディスプレイのコンテンツ開発に時間をかけることができます。
Lenovo Intelligent Devices GroupのEdge Computing部門GMであるBlake Kerrigan氏は次のように述べています。「Ubuntu Frameにより、お客様にはLenovo ThinkEdgeプラットフォームの機能を活用し、カスタマイズ性、信頼性、セキュリティを備えたスマートリテールやデジタルサイネージソリューションをより簡単に開発していただけます。」
このソリューションの開発にあたって目標としたのは、既存のアプリケーションの活用とセキュリティ技術の強化によってエッジデバイス向けグラフィックソリューションの構築の開発と展開に要する時間を最小化することでした。そのため、Ubuntu FrameはFlutter、Qt、GTK、Electron、SDL2などのツールキットと互換性があります。また、HTML5やJavaなどをベースとしたアプリケーション向けのソリューションも備えています。Linux向けの次世代パッケージフォーマットであるSnapによってUbuntu Frameのユーザーが構成や展開を簡単に実行できることも重要です。
Ubuntu Frameはすぐに使い始めることができ、完全にインタラクティブなアプリケーションを展開するために必要なすべてのものを開発者に提供します。Ubuntu Frameには、アプリケーションがホストマシンと安全な通信を行うために必要なインターフェイスがすべて備わっており、開発者がハードウェアごとに個別に対応する必要はありません。また、幅広いジェスチャによるタッチスクリーンからの入力や、キーボード、マウスを用いた入力など、デジタルディスプレイの操作にエンドユーザーが期待するすべての機能が自動的に有効化されます。ウィンドウの動作や仕組みはすべて構成済みのため、開発者が頭を悩ます必要はありません。これらの部分的なソリューションの統合や保守は不要で、必要なツールは1つのみとなります。
「Ubuntu Frameの信頼性は現場で幅広く実証されてきました。Ubuntu Frameの技術は、最先端の手法を用いて7年以上かけて開発され、5年間の運用を経て、Linuxデスクトップおよびモバイルユーザーに対して本番展開されています。したがって、Ubuntu Frameは組み込みデバイス向けに現在利用できる最も成熟度の高いグラフィカルサーバーの1つです。」(CanonicalのSmart Displays部門エンジニアリングマネージャーであるMichał Sawicz)
消費者向けIoTデバイスのセキュリティとプライバシー保護機能における信頼は、今後も採用と市場拡大を左右すると予想されます。セキュリティはUbuntu FrameとSnapの最も重要な要素です。シェルはWaylandプロトコルに基づいてクライアントとサーバーの間のセキュアな通信を提供します。クライアントとサーバーのSnapは独立したセキュアなコンテナに格納されているため、アプリケーションはセキュアなソケットを介して排他的にUbuntu Frameと対話できます。その結果、悪意のあるコードに対する攻撃ベクトルは低下します。最後に、Snapのソフトウェア発行者にとってもセキュリティ脆弱性の自動通知は有用です。Snap内に古いパッケージがあった場合、発行者は電子メールで通知を受け取り、対処することができます。
IoTおよび組み込みシステム向けに開発されたCanonicalのOSであるUbuntu Coreとともに、Ubuntu Frameは最長10年間のサポートを提供します。このサポートは、組み込みデバイスの製品寿命に合わせたセキュリティ更新を開発者に提供します。また、Ubuntu Frameは製品チームやエンタープライズ顧客向けにCanonicalのワールドクラスのサポートを備えています。このような観点から、開発者は問題の根本的な原因をより早期に発見してソースから直接修正できます。
開始方法
Ubuntu Frameを今すぐお試しください。このチュートリアルに従いクイックウェブキオスクインストールを有効化すると、Ubuntu Frameのキオスクモードでウェブサイトを表示できます。
Ubuntu Frameの詳細については、ウェビナーに参加して製品の概要をダウンロードしてください。
Canonicalについて
Canonicalは「Ubuntu」を提供する企業です。Ubuntuは、ほとんどのパブリッククラウドのワークロードに使われているOSであり、スマートゲートウェイ、自動運転車、高度なロボットなどの最先端分野でも使用されています。Canonicalは、Ubuntuの商用ユーザー向けにエンタープライズセキュリティ、サポートおよびサービスを提供しています。Canonicalは2004年に設立された非公開企業です。
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