CanonicalがUbuntu Core 24を発表

by Canonical on 4 June 2024

Ubuntu Core(改変不可)が、IoTデバイスメーカー向けの新しい工場インストールシステム、AIoT対応のGPUサポート、LandscapeとMicrosoft Azure IoT Edgeによるデバイス管理統合機能を導入。

ロンドン、202464

Canonicalは本日、12年間の長期サポート(LTS)を保証したUbuntu Core 24の一般提供を発表しました。Ubuntuの改変不可フレーバーであるUbuntu Core 24は、すべてのシステムコンポーネントとシステム自体をコンテナ群にまとめ、カーネルによる厳密な隔離、高度なマネージドコンポーネント統合、信頼性の高いOTA更新、フェイルセーフロールバックにより、インテリジェントなエッジ/IoTアプリケーションを実現します。

ARM、X86、RISC-Vに対応するUbuntu Coreにより、世界の主流開発プラットフォームであるUbuntuが、何十億ものエッジデバイスに対応するプラットフォームに変身します。充実したアプリのエコシステムとオープンソースの管理インフラストラクチャにより、企業は運用したいサードパーティーのソリューションを容易に統合できます。

Canonicalの最高経営責任者(CEO)であるMark Shuttleworthは次のように述べています。Ubuntu Coreは、ロックダウンされた堅牢な組み込みバージョンのUbuntuであり、Ubuntuアプリケーションをエッジに導入して次世代のインテリジェントデバイスを実現します。Ubuntu Core 24を通じてリアルタイムカーネルを備えた完全なAIスタックをエッジに導入し、産業用、車載用、セキュリティ重視型の組み込みソリューションでのミッションクリティカルな意思決定を可能にすることをうれしく思います。」

工場インストールを最適化し、市場化期間を短縮

Ubuntu Core 24は多数の機器の接続を想定しています。Canonicalは工場でのデバイスあたりのインストール時間を短縮し、工場でのエアギャップインストールを可能にすることで、短時間での展開と世界的サプライチェーンのセキュリティに対応しました。

Ubuntu Core 24は、Ubuntu Coreのカスタムイメージを作成するツールに検証セットを導入しました。検証セットとは、どのアプリケーションのどのバージョンを一緒にインストールすべきかを指定し、特定のデバイスに常に適切なアプリケーショングループをインストールすることを目的とした複数の署名済み文書です。この文書を無線で更新することで、デバイスの更新を常にテスト済みのアプリケーションの組み合わせに制限できます。

「業界賞を受賞したctrlX AUTOMATION自動化システムにUbuntu Coreを統合することで、生産プロセスが大幅に合理化されました。Ubuntu Coreのイメージ作成機能により、安全で効率的なデバイスを短時間で市場化できます。Ubuntu Coreにより、当社の制御システムが初回起動時からシームレスに動作し、インストール時間が短縮されるとともにデバイスの信頼性が高まります。この効率性の向上は生産ラインのダウンタイムを抑えるだけでなく、Bosch Rexrothの誇る信頼性と高性能を強化します。」― Holger Schnabel博士、Boschプロダクトオーナー

Bosch Rexroth、ctrlX(画像出典:Bosch Rexroth

Ubuntu Core 24では、規制の厳しい環境で自動ネットワーク要求の高度な制限が可能です。デバイスメーカーはデバイスの初期化中にすべてのネットワーク通信を無効化できるようになりました。エンジニアリングチームがエアギャップ環境でCoreの新しいバージョンに移行するためのオフラインリモデリング機能もあります。

「新しいデバイスのプロビジョニングと設定には多くの手作業が必要です。しかしUbuntu Coreを使えば、医療用セルフテストキオスクの設定にかかる時間が従来の25%に短縮されます。急速に増加するデバイスをヨーロッパ全体で管理しやすくなりました。」― Dries Oeyen氏、BeWell Innovations最高技術責任者(CTO)

BeWell Innovationsのセルフテストキオスク(画像出典:BeWell)。

AIoTやグラフィックスアプリケーション向けのGPU統合を改善

Ubuntu Core 24は、GPU処理やグラフィックスサポートに必要な新しい統合や機能を備えています。開発者はGPUインターフェイスを使用し、エッジで推論を実行するAIモデルからグラフィックスアクセラレーションを要する製品まで各種のアプリケーションを組み込めます。また、グラフィックスドライバーの更新によってハードウェア互換性を高め、共有ユーザースペース環境を通じてリソースの利用を最適化します。

「当社のテクノロジーはコンピュータービジョンで出荷に関するロジスティクスプランナーの判断を助けます。Ubuntu Coreを使えば、高いセキュリティと信頼性でAIモデルを導入し、エッジシステムのフリートを更新できます。このエンドツーエンドのインフラストラクチャにより当社システムは極めて厳しい企業環境でもセキュリティを維持し、新しいAIアプリケーションを短期間で市場化できます。」  ― Robert Martin、Rehrig Pacific Company テクノロジー担当副社長

Ubuntu Coreは、Canonicalの組み込みLinux向けセキュアディスプレイサーバーであるUbuntu Frameとも併用できます。Core 24の場合、Ubuntu Frameはオープンソース、プロプライエタリのプラットフォームの組み合わせを含め、ハイブリッドGPUシステムをサポートします。そのほかUbuntu Coreと併用可能なUbuntu Frameの機能には、マルチディスプレイデバイス対応ソリューション、スクリーンロック、シームレスブート、ドラッグ&ドロップのサポート、省エネディスプレイ、リモートアシスタンスのサポート、実行時のディスプレイレイアウトの変更、ユーザー設定可能な新しい診断画面などがあります。

Ubuntu Frameでは、Proto Hologramを使用して画期的なホログラムや空間処理機能をスムーズに実行でき、特定のドライバー、ウィンドウの調整、クライアントサーバー通信の確保などの心配がありません。Ubuntu Coreにより、当社プラットフォームを世界中の公共スペースに安全かつ簡単に導入し、接続や通信に対する人々の認識に革命を起こします。」― Edward Ginis氏、Proto共同設立者&最高技術責任者(CTO)

Proto Epicホログラムディスプレイ(画像出典:Proto

ニーズに応じたオープンソースのデバイス管理

Ubuntu Core 24は、Canonicalのシステム管理ツールであるLandscapeおよびMicrosoft Azure IoT Edgeを統合し、各組織のニーズに応じた方法の選択を可能にしています。  

LandscapeはOTA更新の一括制御、監査、アクセス制御、複数デバイス共通のコンプライアンスに対応します。管理ツールは接続の多い環境とエアギャップ環境の両方に対応し、カナリアリリース、リモートでのデバイスリモデリング、システムモニタリングなどの機能により、デバイス管理作業を効率化します。

Landscape dashboard

Canonicalは、Ubuntu CoreデバイスをAzure IoT Edgeサービスにシームレスに統合するAzure IoT Edgeのsnapも発表しました。組織はこのsnapにより、Azureポータルから多数の対応デバイスにエッジワークロードを展開し、管理とモニターが可能となります。

AMD64、ARM64ベースのアーキテクチャに対応するAzure IoT Edgeのsnapは、CanonicalのSnap Storeで公開中です。

ロボット開発者のための新しいROS統合機能

ロボット開発者は20年前から開発環境としてUbuntuを信頼してきました。Core 24の新しいデバイス管理、最適化されたインストール、AIoT機能を利用すれば、新製品を大規模に提供できます。Core 24は、ROS(Robot Operating System)でソリューションを導入する実運用向けの統合機能も提供します。

Canonicalは、モジュール型システム向けのROS基本snapを公開しました。Canonicalが維持管理するこれらのsnapは、ros_core、ros_base、desktopなど共通のROSパッケージ群をROSディストリビューションごとに複数のフレーバーで提供します。開発者はこれらを利用してモジュール型のROS snap環境を設計し、再構成を可能にするとともに、メモリやOTA更新帯域幅を全体的に削減できます。

「PantherロボットにUbuntu Coreを採用することで、現代の法制度で重視される信頼性とセキュリティを確保できます。ROS基本snapは、厳密なアプリケーション隔離を通じてセキュリティを強化し、ROSアプリケーションの導入を効率化します。このモジュール型のアプローチは大規模なカスタマイズを容易にし、さまざまなお客様のニーズに完璧に対応する安全、柔軟、効率的なロボティクスアーキテクチャを実現します。」  ― Dominik Nowak氏、Husarion共同設立者&最高経営責任者(CEO) 

Husarionの高負荷作業用ロボットプラットフォームPanther(画像出典:Husarion

Ubuntu Coreのイメージを今すぐ作成

Canonicalについて

Ubuntuを提供するCanonicalは、オープンソースのセキュリティ、サポート、サービスに特化した企業です。ポートフォリオには、極めて小型のデバイスから大規模なクラウド、カーネルからコンテナ、データベースからAIまで、重要なシステムを幅広く含みます。Canonicalは、大手技術ブランド、スタートアップ企業、行政、ホームユーザーを取引先に持ち、すべての皆様に信頼性の高いオープンソースを提供します。

詳細はhttps://jp.ubuntu.com/をご覧ください。

ニュースレターのサインアップ

Ubuntuニュースレターの配信登録

お客様が購読登録を行われる場合、以下の条件に同意されたことになります。Canonicalのプライバシーに関するお知らせ個人情報保護ポリシー

関連記事

Canonical Jobs – Linuxエンジニア

Linuxフィールドエンジニア IoT分野における当社の主力製品、Ubuntu Coreはユニークな存在です。最高の信頼性、セキュリティ、フットプリントを実現するため、Linuxを再発明したものと言えます。当社の顧客は、自動車、市販電子機器、医療機器、産業システム、ロボティクス、ゲートウェイなど、さまざまな業界にわたりますが、厳しい品質とセキュリティの要件を満たすよう迫られているという点では共通しています。 日本市場での急速な展開に対応するため、当社はデバイス部門のフィールドエンジニアチームの拡大を検討しています。この重要なポジションは、新しいテクノロジーを迅速に習得し、多くの業界の最先端でお客様のソリューション構築を支援することが求められるため、能力ある候補者はキャリア […]

Canonical、Landscape 24.04 LTSを公開

12年間のサポートに対応するLandscape 24.04 LTSでは、新しいシステム管理ウェブポータル/APIにsnapおよびリポジトリ管理機能を追加しました。 Canonicalは本日、Landscapeの最初のLTSリリースを発表しました。Landscape 24.04 LTSにはバージョン管理されたAPI、アクセシビリティとパフォーマンスに配慮した新しいウェブポータル、直感的なソフトウェア配信管理機能が搭載されています。Landscape 24.04 LTSは、Landscape ServerとLandscape Clientで構成されます。モダナイズされたバックエンドとウェブポータルが搭載されているため、エンジニアリングチームは効率的に作業を行い、パッチや新機能 […]

自動車におけるAIの最大のユースケース(自動運転だけではない)

車載AIの主な4つのユースケースの調査 急速な技術革新の時代において、自動車業界に根本的な転換を引き起こしているのが人工知能(AI)です。AIは、スマートな車両の設計や、車内での操作のカスタマイズなど、輸送のあらゆる側面を再定義し、運転者と乗員の両方にとって安全でより効果的、そして環境に優しい移動手段を作り上げます。 このブログ記事では、自動車業界において最も有望なAIの4つのユースケースについて解説します。 インテリジェント車両のライフサイクル管理 革新的な車両の設計、材料の使用、製造プロセス AI駆動の生成型設計アルゴリズムによって、車両のコンセプト構築とエンジニアリングを変革し、創造性と効率性の境界を押し広げることができます。これらのアルゴリズムにより、膨大な量のデ […]