AWS MarketplaceでリアルタイムUbuntuの提供を開始
by Canonical on 17 November 2023
リアルタイムカーネルを備えたUbuntu Pro 22.04 LTSがAWS Marketplaceのリストに登録されました。AWS Marketplaceとは、Amazon Web Services(AWS)で実行可能なソフトウェアを簡単に検索、テスト、購入、デプロイできるデジタルカタログであり、独立系ソフトウェアベンダーによる何千ものソフトウェアが登録されています。
CanonicalはAWSパートナーネットワーク(APN)のアドバンストティアサービスパートナーです。これは、独立系ソフトウェアベンダー(ISV)の最上位階層です。AWSのユーザーがAWSにUbuntuをデプロイできるよう、CanonicalはAWSと10年以上にわたって協力しています。Canonicalは、Amazon Elastic Compute Cloud(Amazon EC2)、AWS Graviton、AWS Outposts、Amazon Elastic Kubernetes Service(Amazon EKS)といった主要なAWSのサービスをカバーする40種類以上のサーバーイメージをAWS上で提供しています。サーバー以外にも、CanonicalはAWS MarketplaceでのAnbox Cloud Applianceや、Amazon WorkSpacesとAmazon AppStream 2.0でのUbuntu Desktopの供給を通じてモバイル開発機能を提供しています。 モバイル、デスクトップ、サーバーベースのどのワークロードで開発する場合でも、AWSのユーザーは企業向けの安全なオープンソースソリューションをサポート付きで利用できます。
AWS MarketplaceのリアルタイムUbuntuにより、CanonicalはAWS環境の最先端で革新を起こしました。Canonicalが今年の2月にリアルタイムUbuntuを発表すると、ユーザーはすぐに高速プロトタイピングに対応するクラウドオプションを求めました。 リアルタイムUbuntuはAWS Marketplaceで最初に公開されました。つまり現在AWSはリアルタイムUbuntuをクラウドで調達する唯一の手段です。自動車、産業、通信業界などの企業は、クラウド環境でコードを検証することによって、リアルタイムコンピューティングを活用し、開発時間を短縮できるようになりました。
さらに、Ubuntu Proではリアルタイムカーネルに対する重要な高セキュリティのカーネルCVEパッチがデフォルトで有効になっており、実行時に自動的に適用されます。Canonicalは更新したイメージを毎日公開しており、インスタンスの起動時からセキュリティは確実に有効です。AWS MarketplaceのリアルタイムUbuntuは、10年間のメンテナンス契約で現代企業の時間的制約に対応し、デジタルツイン環境での開発に最適となっています。
高速プロトタイピングからシームレスなデプロイまで
CanonicalのプロダクトマネージャーであるEdoardo Barbieriは次のように述べています。「CanonicalのリアルタイムUbuntuはソフトウェア定義自動車の領域で大きな進歩を示し、迅速な開発とシームレスな展開を促進しています。 AWS Marketplaceへの登録により、OEMやティア1サプライヤーは、信頼性が高く安全なオープンソースソリューションをクラウド上で利用し、ソフトウェア定義自動車の戦略を構築できるようになりました。」
AWSのソフトウェア定義自動車担当ワールドワイドテクニカルリードであるStefano Marzani氏は次のように述べています。「AWSでUbuntuのリアルタイムカーネルを利用することで、自動車開発におけるクラウドと実際の自動車上の環境の同等性をさらに高めることができます。AWSは、Canonicalとの協力を通じてクラウド内でリアルタイムUbuntuの利用を可能にしました。開発者は、車載あるいは産業用ワークロードのような確定的動作を必要とするシステムの実装を、ハードウェアが提供される前に、ハードウェアのプロビジョニングと同時に開始できます。」
クラウドでの開発によって環境的同等性への移行が可能になり、ハードウェアリソースの制約やマイクロチップ不足によるサプライチェーンの問題が軽減されます。
Tata Technologiesのソフトウェア定義自動車担当シニアプラクティスリーダーであるShankara Narayanan氏は次のように述べています。「自社のソフトウェア開発者が、物理的なハードウェアを準備することなく、クラウド環境で自動車用ソフトウェアの実装とテストを実行できるソリューションを探していました。特に、物理的なハードウェアが非常に高価で希少である開発の初期段階です。AWS Marketplaceで入手できるリアルタイムUbuntuは、そのニーズにぴったりです。AWSのリアルタイムUbuntuによって当社のソフトウェア定義自動車の開発がどのように改善されるか楽しみです。」
MooVitaの共同創設者兼CTOであるAnthony Wong氏は次のように語っています。「当社はベータ版のリリースからリアルタイムUbuntuを使っています。初日から厳しいレイテンシの要件を満たし、期待どおりに機能しているため、AWS MarketplaceにリアルタイムUbuntuが登録されたことをうれしく思います。当社はスマートモビリティソリューション企業として、アップグレードやセキュリティ脆弱性の修正による一貫したソフトウェアメンテナンスに苦労しています。リアルタイムUbuntuと、オープンソースに関するCanonicalの実証された専門知識があれば、コストを限度内に抑えながら、次世代アプリケーションの開発や消費者ニーズに集中できます。」
リアルタイムUbuntuの仕組み
リアルタイムUbuntu 22.04 LTSはLinux Foundationによって保守されているアップストリームプロジェクトからのPREEMPT_RTパッチを統合することで、リアルタイム機能をエコシステム内の開発に対応させています。
PREEMPT_RTは優先度のスケジューラーとその他の補助的なリアルタイムメカニズムを実装します。プリエンプションでは、優先度の高いイベントを処理するために現在の実行スレッドを一時的に中断します。PREEMPT_RTパッチを統合することによって、リアルタイムUbuntuはメインラインのLinuxよりもプリエンプティブ性が高くなっています。Linuxカーネル内のプリエンプティブなコードの量を増やすと、システムが外部イベントに対する確定的な応答時間を提供する能力が大幅に向上します。カーネルのレイテンシが効果的に削減され、最も厳しいワークロードでも要求に対応でき、予測可能なタスク実行が保証されます。
一貫性のある安全なエクスペリエンス
AWS MarketplaceにリアルタイムUbuntuを登録したことで、Canonicalはエッジコンピューティングからマルチクラウド環境まで、プラットフォーム間の一貫したエクスペリエンスと、CI/CDパイプラインの統一性を確保します。
さらに、Canonicalは更新したイメージを毎日公開することで常にセキュリティを最優先事項とし、起動されるすべてのインスタンスが最初から安全であることを保証します。重要な高セキュリティのカーネルCVEパッチが実行時に自動的に適用されるため、すぐに再起動する必要はありません。開発者やDevOpsの専門家は、信頼性の高いセキュリティ更新のストリームによって、クラウドでコードを実行するときにリアルタイムUbuntuの安全性を信頼することができます。エンタープライズグレードのサポートと長期メンテナンスに対するCanonicalの取り組みにより、AWS Marketplaceのリアルタイムカーネルの長寿命が保証されています。その結果、組織は中核的な事業推進要因に集中し、市場投入までの時間を短縮できます。
参考資料
- リアルタイムコンピューティングの基本事項は、Canonicalのブログシリーズをご覧ください。
- 変化する自動車業界でリアルタイム性とセキュリティがどんな意味を持つかをご存じですか?ウェビナーをご覧ください
- すでに専門知識をお持ちの方には、リアルタイムカーネルをチューニングして最適な結果を得る方法をご紹介します。
Canonicalは、市場投入までの時間を短縮するために、シリコンベンダー、ボードメーカー、ODMの各企業と提携しています。カスタムボードのイネーブルメント、商用配布、長期サポート、セキュリティメンテナンスについては、Canonicalにご相談ください。
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Canonicalについて
Canonicalは「Ubuntu」を提供する企業です。Ubuntuは、ほとんどのパブリッククラウドのワークロードに使われているオペレーティングシステムであり、スマートゲートウェイ、自動運転車、高度なロボットなどの最先端分野でも使用されています。Canonicalは、Ubuntuの商用ユーザー向けにエンタープライズセキュリティ、サポートおよびサービスを提供しています。Canonicalは2004年に設立された非公開企業です。
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