Ubuntu 20.04 LTSの提供終了
by Canonical on 12 December 2024
Ubuntu 20.04 LTSの提供終了:標準サポートの終了に備える方法を紹介します。
2025年、Ubuntu 20.04 LTS(Focal Fossa)は標準の5年間のサポート終了を迎えます。そろそろアップグレードの選択肢を考えるときです。
Ubuntuの長期サポート(LTS)リリースとは
Ubuntuの長期サポートリリース(LTS)は、2年ごとにCanonicalによってリリースされます。CanonicalはMainリポジトリ内のすべてのパッケージに対してUbuntu LTSリリースのパッチとメンテナンスを5年間提供しています。Ubuntu 20.04 LTSでは、このサポートは2025年4月まで続きます。この後には、2つの選択肢があります
1つは、最新のLTSリリースであるUbuntu 24.04(Noble Numbat)にアップグレードすることです。このリリースは2029年までサポートされます。
2つ目は、Expanded Security Maintenanceを入手し、Ubuntu Proサブスクリプションを使用して2030年4月まで20.04 LTSのサポート期間を延長することです。Legacy Supportアドオンを使用すると、さらに2年間のサポートを購入でき、セキュリティメンテナンス期間が2032年4月まで延長されます。この結果、事業継続性への影響を最小限にとどめてシステムの運用とコンプライアンスを維持できます。
Ubuntu Proサブスクリプションでは、CanonicalがMainパッケージとUniverseパッケージに対してセキュリティメンテナンスを提供します。アップグレードの準備をする時間が増えるほか、チームは通常業務に集中できます。Canonicalは、企業向けに30日間の試用版を提供しています。個人利用の場合は常に無償です。
Ubuntu Proとは
Ubuntu Proは、すべてのUbuntu LTSにExpanded Security Maintenance(ESM)を提供するサブスクリプションです。
Ubuntu Proは、amd64、arm64、s390X、PowerPCアーキテクチャに対応しており、インフラストラクチャとアプリケーションの両方に対するExpanded Security Maintenance(ESM)により、すべてのUbuntuパッケージにセキュリティパッチを提供します。また、オプションとして24時間年中無休の電話およびチケットによるサポートもあります。
Ubuntu Proは、個人および小規模なビジネスなら5台まで無料です。企業の場合は、デスクトップ、サーバー、IoTデバイス、およびAWS、Azure、Google、IBM、Oracleなどのパブリッククラウド上のVMに対して、透明性の高いマシン単位の価格を提供しています。
ESMとは
ESMとは、Expanded Security Maintenanceを意味する略語です。ESMはUbuntu Proに含まれており、インフラストラクチャ(esm-infra)とアプリケーション(esm-apps)の2種類のパッケージをカバーしています。
Esm-infraは、UbuntuのMainリポジトリ内のすべてのパッケージをカバーしています。
Mainリポジトリに含まれる2,300のパッケージは、ほとんどのマシンにインストールされているか、デスクトップからクラウドまで幅広い環境に普及しています。
Esm-appsは、UbuntuのUniverseとMainのリポジトリのすべてのパッケージに対応し、パッケージ数は25万3,000を超えます。
Universeリポジトリには、Ubuntu、Ubuntuコミュニティ、Debianのすべてのパッケージが含まれています。Universeのパッケージでは、深刻度が「高」や「緊急」の脆弱性に対するパッチ配布に重点を置いたセキュリティサポートを提供します。Canonicalは、このような深刻な問題に迅速に対処し、システムの安定性とセキュリティの確保に努めています。
Legacy Supportを利用すると、esm-infraとesm-appsの両方のサポート期間が12年間に延長されます。
ESMを選ぶ理由
期限に間に合わなかった。トラブルシューティングが絶えない。互換性の問題。新しいLTSにアップグレードする準備ができていない場合は、ESMを選択することによって、準備と通常業務のビジネスのバランスを取るために必要な時間を確保できます。業界の規制が厳しく、PCI-DSS、SOC2、GDPRなどのコンプライアンスに関する要件によってプロセスがさらに複雑になるような場合は、この影響はさらに顕著になります。
Ubuntu Proを使用することで、すぐにアップグレードしなければならないというプレッシャーを感じることなく、現在のシステムの寿命を延長できます。
次にすべきこと
次のステップを計画することが重要です。ESMのない状態でUbuntu 20.04を運用すると、2025年4月以降はセキュリティ更新プログラムが配信されなくなります。パッチが適用されていないCVEは、システムをセキュリティ侵害にさらすおそれがあります。
金融サービス、医療、通信のような規制の厳しい業界の人々にとっては、コンプライアンスの基準を満たすためにセキュリティパッチを適時に適用することが不可欠です。現在Ubuntu 20.04 LTSをお使いの場合は、次のステップを検討するときが来ています。最新のUbuntu LTSにアップグレードするか、2032年までUbuntu Proを通じてESMによる保証を受けましょう。
ニュースレターのサインアップ
関連記事
アプリケーションセキュリティ(AppSec)とは?
サイバーセキュリティの世界は変わりました。サイバー攻撃、マルウェア、ランサムウェアのリスク増大に加え、新しいサイバーセキュリティ規制の圧力、情報漏洩や違反にかかる高額の罰金により、もはやアプリケーションセキュリティ(AppSec)は必須です。 このブログ記事では、このような課題に対処し、基本的なセキュリティ対策を中心として業務やシステムを守る方法を紹介します。AppSecの概要と利点、AppSecの設計と実装に取り組む方法を説明した後、セキュリティに関するCanonicalチームのアドバイスとAppSecのベストプラクティスを検討しましょう。 AppSecとは アプリケーションセキュリティ(略してAppSec)とは、アプリケーションのライフサイクルを通じて脆弱性の悪用を防 […]
ITチームの70%がセキュリティパッチの適用に6時間以上– IDCの最新調査
TL;DR(要約):IDC の新調査によると、70%以上の IT チームが週に 6 時間以上をセキュリティパッチに費やしており、多くが業務負担と感じています。Ubuntu Pro のような自動化されたセキュリティ対応が注目されています。この調査は、CVE 対応やオープンソースの脆弱性管理にも言及しており、Ubuntu Pro の価値が改めて浮き彫りになりました。 ———————————————————————————————————————————— CanonicalとIDC(International Data Corporation)社による最新の調査結果:企業はCVE(共通脆弱性識別子)パッチ適用の指令に従った修正の適用に苦労し、オープンソースサプライチェーンにお […]
脆弱性を見つける方法
脆弱性の評価を行う方法 情報セキュリティの世界は専門用語だらけです。脆弱性関連の用語を見たことがある方ならご存じでしょう。さらに厄介なのは、複数の用語が同じ意味に使用されたり、コンピューター以外の分野で使用される用語が混じっていたりすることです。これは、脆弱性の評価について学びたいと考えている人にとって混乱の元です。ですからこのブログ記事では、Ubuntu環境の脆弱性評価について掘り下げる前に、用語の意味を解説します。 脆弱性とは 脆弱性とは、攻撃者による悪用やユーザーのミスによって損害を引き起こす可能性のあるすべての欠陥です。リスク管理において脆弱性は、脅威の可能性を高める、または攻撃が成功したときの損失を増やす、あるいはその両方によって、リスクを増大させます。 サイバ […]