Ubuntu 21.10を公開
by Canonical on 18 October 2021
2021年10月14日:Canonicalは本日、デスクトップ、デバイス、クラウドを問わず、クラウドネイティブの開発者やAI/MLイノベーター向けの最も生産的な環境としてUbuntu 21.10をリリースしました。
Mark Shuttleworthは次のように述べています。「オープンソースは新たなデフォルトになりました。Canonicalは、企業の隅々にまで、そして開発者がイノベーションを望むあらゆる場所にUbuntuを届けることを目指します。大規模なパブリッククラウド、小型のデバイス、DGXサーバー、Windows WSLワークステーションなど、オープンソースはどこでも新しいアイデアの源であり、Ubuntuはそれを安全で、セキュアで、一貫したものにします。」
あらゆるUbuntu開発者が対象
Ubuntu 21.10は、静的分析の完全サポートを含むPHP 8とGCC 11を採用しているほか、低レベルのプログラミングにおける開発者の日常的なセキュリティ意識を大幅に高めます。
Gnome 40により、デスクトップユーザーは動的なワークスペースと、タッチパッドのジェスチャ機能を使用できます。Mozillaが公開した新しいFirefoxスナップは、セキュリティを強化し、ブラウザの最新バージョンと、拡張サポートのリリースバージョンの両方へのアクセスを保証します。また、Ubuntuのバージョンが異なっても全く同じバージョンのブラウザを使用できるため、企業開発者のプラットフォーム管理が簡単になります。昨年1年間に、ストアで公開されたスナップの数は25%増加し、スナップストアは毎日1,000万を超えるシステムで使用されています。
Windows開発者にとっては、Windows Subsystem for Linux(WSL)でのグラフィカルアプリケーションが最初からサポートされているため、Ubuntuデスクトップアプリケーションを変更なしで使用できる点が便利です。
エッジからメインフレームまですべてクラウドネイティブ
今日の開発作業ではコンテナ化されたイメージを多く使用しますが、オープンソースソフトウェアのイメージの出所を確認するのは簡単ではありません。アプリケーション開発者は、信頼できるソースから得られた、整合性があり信頼性が高いコンテナイメージを求めています。Ubuntu 21.10のOCIイメージは、Docker HubとAmazon ECRパブリックレジストリで提供しています。Ubuntuのベースイメージとともに、Canonicalは厳選されたアプリケーションイメージのセットも用意しています。LTS Dockerイメージは、企業にとって重要なコンプライアンスとセキュリティの更新を含み、CanonicalがUbuntuのライフタイム終了まで少なくとも10年間は支援します。
Canonicalから配布される最新のLTS DockerイメージにはGrafana、Prometheus、NGINXが含まれます。Apache Cassandra v4は新たに追加されたもので、リアルタイムのスクレイピングやアラートの機能があり、Prometheusとの統合が強化されています。キャッシングプロキシのSquidと、完全な機能を持つDNSシステムであるBind9も、LTS Dockerイメージのポートフォリオに追加されます。
MicroK8sは1つのコマンドでKubernetesをインストールし、わずか2つのコマンドでKubernetesエッジクラスターを形成します。MicroK8sは現在、最新のCNCF認定済みKubernetes 1.22を、安定したチャンネルで提供しています。Kataコンテナは、軽量な仮想化によってコンテナを実行できる新しい画期的な方法で、展開のセキュリティを強化できます。現在のMicroK8sでは、簡単な「microk8s enable kata」コマンドを使用してKataコンテナをアクティブにできます。
MicroK8s for IBM Zのサポートは現在ベータ版でテスト中です。MicroK8sでIBM Zがサポートされると、ユーザーはクラウドネイティブの開発運用や、メインフレームの安定性とセキュリティの恩恵を受けることができます。
AI/MLのイノベーションに最適な選択肢
高度なデータやAI/MLワークロードを実行するため、世界中のエンジニアがプラットフォームとしてUbuntuを選択しています。CanonicalはUbuntu 21.10で、Apache Cassandraをスナップとしてパッケージ添付し、データ運用チームがCassandraクラスターをセットアップできるようにしました。
NVIDIAとの共同作業の一部として、Ubuntu 18.04 LTSとUbuntu 20.04 LTSはUbuntu KVM上でvGPUをサポートするようになりました。ユーザーは、物理的なGPUデバイスをゲストVMと仮想GPUとの間で共有し、パフォーマンスと効率性の向上を得られます。
MicroK8sコミュニティのアドオンのコレクションは増え続けており、その1つであるNVIDIA GPUオペレーター1.7.0により、Kubernetes上でのAI/MLワークロードの実行を簡素化できます。
将来への対応
Ubuntu 21.10のカーネル5.13には、実稼働環境向けに設計された新しいランタイムのメモリエラー検出器、Kernel Electric Fence(KFENCE)のサポートが含まれます。KFENCEはわずかなオーバーヘッドで一般的なメモリエラーを検出します。Ubuntu 21.10ではこれがデフォルトで有効化されているため、amd64とarm64のどちらのアーキテクチャでも、パフォーマンスへの影響を最小限に抑えつつ、システムコールの各エントリでカーネルスタックのメモリ位置をランダム化できます。
Ubuntu 21.10 Impish Indriは、2022年4月にリリースされる次のUbuntu長期サポート(LTS)の前に公開される、最後の中間リリースです。開発者は、Ubuntu 21.10を使用することで、開発したソフトウェアが次のLTSでも動作することを確実にできます。次のLTSは最短でも2032年までサポートが行われます。
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