Ubuntu 22.04の新しいActive Directory統合機能(パート1)

by jiashiuan on 30 May 2022

原典:https://ubuntu.com/blog/new-active-directory-integration-features-in-ubuntu-22-04-part-1

4月21日、一般ユーザーにもビジネスユーザーにもうれしい新機能を数多く備えたUbuntu Desktop 22.04がリリースされました。改良されたLinuxActive DirectoryADの統合は、長い歴史の中でも特に企業ユーザーから要望の大きかった機能です。Ubuntu 22.04ではその要望に応え、ユーザーがすでにWindowsの管理に使い慣れたツールでUbuntuデスクトップをネイティブに管理できるようにしました。

このシリーズ記事の第1弾では、新しい高度なActive Directory統合機能のさまざまな面を検討し、ADsysの概要を紹介します。

LinuxとActive Directoryの統合

最近のMicrosoftのデータによれば、中小企業の大半はActive Directoryを使用して社内のデスクトップのIDとコンプライアンスを管理しています。これは何十年も前からのことであり、企業はIT管理チームのセキュリティと効率性を高めるため、ツールや自動化ワークフローの開発に多額の投資をしています。

Linuxデスクトップ(DebianやUbuntuなど)は、長年、SSSDを通じてActive Directoryの統合をサポートしてきました。しかし、統合は認証とそれに関連する少数のグループオブジェクトポリシーに限られていました。

ADを使用してポリシーへの適合を強制したり、リモートで構成を適用したりしたいITシステム管理者は、難しい選択を迫られていました。サードパーティの特権アクセス管理ソリューション(主にサーバーでカスタマイズされる)にお金を払うか、多数のカスタム開発ツールやスクリプトに依存するかです。

ADsys ― 新しいActive Directoryクライアント

22.04では新しいActive Directoryクライアントを導入

Ubuntu Desktop 22.04では、新しいActive DirectoryクライアントとしてADsysが採用されました。これにはadmx、admlテンプレートファイルを含め、UbuntuをActive Directoryに統合するために必要なすべてが含まれます。

ADsysは、adsysd(グループポリシープロトコルを実装し、Kerberos、Samba、LDAPを使用して認証とポリシー取得を行うデーモン)とadsysctl(デーモンとそのステータスを制御するコマンドラインインターフェイス)という2つの要素で構成されます。

ADsysは、引き続きユーザー認証とホームディレクトリの設定に使用されるSSSDとPAMに代わるのではなく、それらを補って以下の機能を追加します。

  • グループポリシーオブジェクトをネイティブにサポートし、クライアントマシンのdconf設定をターゲットとしてマシンポリシーとユーザーポリシーの両方をサポート
  • 権限の管理で、デフォルトのローカルユーザーやActive Directoryのユーザーとグループに対し、管理者権限の付与や剥奪が可能
  • カスタムスクリプトの実行により、マシンの起動、シャットダウン、ログイン、ログアウト時に、シェルスクリプトの実行をスケジューリング可能

上記の機能に加え、コマンドラインツールでは必要な.admx、.admlポリシーファイルを生成し、Active Directoryにインストールできます。インポートしたポリシーファイルは、Windows Serverのグループポリシー管理エディターで簡単に確認し、修正できます。

機能はすべて、Windowsで使用されているUbuntuのActive Directory管理機能にできるだけ似せて開発されています。これによりシステム管理者は少ない労力で使い方を習得し、多数のUbuntuデスクトップコンピューターをセキュアに管理できます。

新しい機能を利用するには

SSSDはすべてのデスクトップユーザーが利用可能なアップストリームコンポーネントですが、ADsysの最新の機能を利用するにはUbuntu Advantageのサブスクリプションが必要です。Ubuntu SSOアカウントを使用すれば、個人向けの無償ライセンスも取得できます。ADSysは、20.04.2 LTS以降のUbuntuでサポートされ、Windows Server 2019でテスト済みです。

CanonicalはこのほどActive Directory統合ホワイトペーパーを更新し、新しい機能を最大限に活用していただくための実用的な手順を追加しました。ADsysの仕組みについて詳しくは、Githubの該当ページまたは製品説明書をご参照ください。

Ubuntu Desktop、Ubuntu Advantage、または最新のActive Directory統合機能の詳細は、お問い合わせの上、アドバイザーにニーズをお聞かせください。

今すぐ見る
ニュースレターのサインアップ

Ubuntuニュースレターの配信登録

お客様が購読登録を行われる場合、以下の条件に同意されたことになります。Canonicalのプライバシーに関するお知らせ個人情報保護ポリシー

関連記事

改変不可のLinuxデスクトップベースとしてのUbuntu Core

Canonicalは、IoT向けの完全にコンテナ化されたプラットフォームを構築するため、2014年にUbuntu Coreの開発を始めました。Ubuntu Coreでは、DockerやLXCが構築されるカーネルコンテナ技術と同じ技術を用いて、明確に定義されたアップグレードとロールバックにより、システムのすべてのコンポーネントを安全なサンドボックスに配置します。このような形にした理由は、自律的に接続されたIoT(モノのインターネット)デバイスが人間の介入を必要とせずに適用可能な更新を受信し、エッジでセキュリティとビジネスニーズに対応できるようにするためです。Ubuntu Coreの極めて小さなフットプリントは、厳しい環境でも信頼でき、常に更新される、安全で安定したオペレーテ […]

未来のAIがもたらすもの

Artificial Intelligence Appreciation Dayに注目すべき8つのトレンド 米国で7月16日は「Artificial Intelligence Appreciation Day」(人工知能感謝の日)です。20世紀にSF小説でよく扱われたアンドロイドなどのテーマや発明は、今や科学的にほぼ現実のものとなりました。1950年代、人工知能はアルゴリズム開発などの大きな成功と、計算能力の制約による大きな失敗の両方を経験しました。そして今日、AIは今年最大のトピックとなりそうです。ChatGPTは1週間足らずで10億ユーザーを達成し、企業はAIへの投資を増額しています。では、AIの未来はどうなるのでしょう?以下のトレンドが今後を垣間見せてくれます。 A […]

Canonical プレゼンツ:Dell Technologies Forum 2023 – イノベーションと成長の力を解放する

Dell Technologies Forum 2023は、イノベーションと組織の成長を目指すビジネスリーダーやスペシャリストに向けた、デル・テクノロジーズの日本における最大のイベントです。今年も会場とオンラインで同時に開催され、最新のITトレンドや最先端テクノロジーのご紹介のほか、実際に変革を成し遂げた企業の事例、様々なセッションをご用意しています。 Canonicalの参加 Canonicalはパートナーとして、デルプラットフォームとの共同ソリューションの成功事例をいくつか紹介します。さらに、最新のAIプラットフォームソリューションを展示します。信頼できるAI/MLオープンソースプラットフォーム、Ubuntuは、開発者からエッジまで、AIの構想を支援するプラットフォー […]


© 2023 Canonical Ltd. Ubuntu および Canonical は、Canonical Ltd の登録商標です。