Ubuntu 22.04の新しいActive Directory統合機能(パート2) – グループポリシーオブジェクト
by jiashiuan on 6 June 2022
原典:https://ubuntu.com/blog/new-active-directory-integration-features-in-ubuntu-22-04-part-2-group-policy-objects
LinuxとActive Directory(AD)の統合は、長い歴史の中でも特に企業ユーザーから要望の大きかった機能です。Ubuntu Desktop 22.04では、新しいActive DirectoryクライアントとしてADsysを採用しました。このブログ記事は、新機能を詳細にご紹介するシリーズのパート2です。(パート1 – はじめに)
この記事では、クライアントをドメインに追加した後、ADsysがグループポリシーオブジェクト(GPO)をどのように使用してUbuntuのdconf設定を変更するかに重点を置きます。
この分野でも、ADsysの他の新機能と同様、ユーザー体験はMicrosoft Windowsのネイティブ体験にできるだけ近づけるよう努めました。これによりIT管理者はUbuntuデスクトップの管理で長年蓄積してきた知識とツールを再利用できます。
Active Directory管理用テンプレート
Windowsクライアントと同様、ADに管理できる機能を伝える第一歩は管理用テンプレートのインポートです。Canonicalは、各言語専用の.admlファイルと言語を問わない.admxの選択肢を提供しています。
管理用テンプレートは、Windowsドメインコントローラーのsysvolフォルダにあるセントラルストアにインポートする必要があります。セントラルストアとは、グループポリシーツールがデフォルトでチェックするファイルの保存場所であり、すべてのドメインコントローラーに複製されます。セントラルストアの作成と管理について詳しくは、Microsoftが提供する豊富なドキュメンテーションをご覧ください。
デバイスがドメインに追加されると、ADsysはコマンドラインインターフェイスを表示し、実行するディストリビューションに対応するテンプレートをダウンロードが可能になります。管理用テンプレートは各種のデータタイプをサポートし、管理コンソールは修正しようとするプロパティ(ブール値、リストなど)に応じてUIを変更します。
Canonicalは今後も、Ubuntuの最新バージョンと互換性のあるツール/リリース更新済みのテンプレートをサポートします。提供されているテンプレートについては、プロジェクトGithubのページの関連セクションをご覧ください。
グループポリシーオブジェクトの使用
Active Directory管理センター
グループポリシーオブジェクトは、任意のdconf設定の変更に使用できます。使用状況と顧客需要により、将来的に他のポリシーマネージャーとの互換性も追加できます。
Windowsと同様、Canonicalはユーザーポリシーとコンピューターポリシーの両方を提供します。これにはActive DirectoryのUbuntu管理用テンプレートからアクセスしてください。GPOルールには、従来どおり有効、無効、未構成の状態があり、その優先順位はデフォルトのActive Directory構造と同じです(すなわちマシンポリシーがユーザーポリシーより優先)。
以下についてはWindowsと同じGPOが適用されます。
- 起動時にコンピューターポリシー
- ログイン時にユーザーポリシー
- 接続中のアクティブなクライアントについては設定可能な間隔で(デフォルトは標準90分に設定)
この設定はクライアント上の該当ユーザーに適用され、ローカルマシン管理者のみが上書き可能です。
SSSDとセキュリティポリシー
ADsysがSSSDに代わるのではなく補足することは重要です。SSSDによって現在管理または部分的にサポートされているActive Directoryセキュリティポリシーは、ADsysにコピーされません。
SSSDは18.04以降のUbuntuのすべてのバージョンに含まれます。詳細はCanonicalのドキュメンテーションまたはアップストリームプロジェクトのページをご覧ください。
その他のリソースと新しい機能の利用方法
このブログ記事に記載されている機能は、すべてのUbuntuユーザーに無償で提供されていますが、権限の管理とリモートスクリプトの実行にはUbuntu Advantageのサブスクリプションが必要です。Ubuntu SSOアカウントを使用すれば、個人向けの無償ライセンスも取得できます。ADSysは、20.04.2 LTS以降のUbuntuでサポートされ、Windows Server 2019でテスト済みです。
CanonicalはこのほどActive Directory統合ホワイトペーパーを更新し、新しい機能を最大限に活用していただくための実用的な手順を追加しました。ADsysの仕組みについて詳しくは、Githubの該当ページまたは製品説明書をご参照ください。
Ubuntu Desktop、Ubuntu Advantage、または最新のActive Directory統合機能の詳細は、お問い合わせの上、アドバイザーにニーズをお聞かせください。
ニュースレターのサインアップ
関連記事
改変不可のLinuxデスクトップベースとしてのUbuntu Core
Canonicalは、IoT向けの完全にコンテナ化されたプラットフォームを構築するため、2014年にUbuntu Coreの開発を始めました。Ubuntu Coreでは、DockerやLXCが構築されるカーネルコンテナ技術と同じ技術を用いて、明確に定義されたアップグレードとロールバックにより、システムのすべてのコンポーネントを安全なサンドボックスに配置します。このような形にした理由は、自律的に接続されたIoT(モノのインターネット)デバイスが人間の介入を必要とせずに適用可能な更新を受信し、エッジでセキュリティとビジネスニーズに対応できるようにするためです。Ubuntu Coreの極めて小さなフットプリントは、厳しい環境でも信頼でき、常に更新される、安全で安定したオペレーテ […]
未来のAIがもたらすもの
Artificial Intelligence Appreciation Dayに注目すべき8つのトレンド 米国で7月16日は「Artificial Intelligence Appreciation Day」(人工知能感謝の日)です。20世紀にSF小説でよく扱われたアンドロイドなどのテーマや発明は、今や科学的にほぼ現実のものとなりました。1950年代、人工知能はアルゴリズム開発などの大きな成功と、計算能力の制約による大きな失敗の両方を経験しました。そして今日、AIは今年最大のトピックとなりそうです。ChatGPTは1週間足らずで10億ユーザーを達成し、企業はAIへの投資を増額しています。では、AIの未来はどうなるのでしょう?以下のトレンドが今後を垣間見せてくれます。 A […]
Canonical プレゼンツ:Dell Technologies Forum 2023 – イノベーションと成長の力を解放する
Dell Technologies Forum 2023は、イノベーションと組織の成長を目指すビジネスリーダーやスペシャリストに向けた、デル・テクノロジーズの日本における最大のイベントです。今年も会場とオンラインで同時に開催され、最新のITトレンドや最先端テクノロジーのご紹介のほか、実際に変革を成し遂げた企業の事例、様々なセッションをご用意しています。 Canonicalの参加 Canonicalはパートナーとして、デルプラットフォームとの共同ソリューションの成功事例をいくつか紹介します。さらに、最新のAIプラットフォームソリューションを展示します。信頼できるAI/MLオープンソースプラットフォーム、Ubuntuは、開発者からエッジまで、AIの構想を支援するプラットフォー […]