Ubuntu Desktop 20.04 LTSの新機能とは?

by cmoullec on 1 June 2020

それではご紹介します!

Ubuntuは世界で最も人気の高いオープンソースのデスクトップ向けオペレーティングシステムです。そして、今回のリリースは過去最高の出来だと言えます。Ubuntu 20.04 LTSは、組織やホームユーザー向けの、エンタープライズ仕様で安全性と費用対効果の高いオペレーティングシステムです。

今回のリリースでの変更点をまとめる前に、デスクトップ向けLinuxのコミュニティで話題になっていることについて触れておきます。それは、デスクトップがCanonicalにおいて最優先ではなくなったという認識です。これは完全に事実と異なっています。なぜなら、Ubuntu Desktopユーザーの多くはそれぞれの業界に大きな波をもたらす情熱的な人々であるからです。彼らは人工知能や機械学習、自動運転車、パブリッククラウドサービス、コンテナオーケストレーションなど、次世代の大きな潮流を生み出そうとしています。こうした革新はすべてCanonicalがLinuxデスクトップに取り組んでいる間に登場し、企業におけるUbuntu Desktopの普及をますます促しました。だからこそUbuntuは、そのような新しい分野において最も人気のOSとなったのです。

Ubuntuは活発なコミュニティが有名で、今でもUbuntu Cinnamon、Ubuntu Deepin、Ubuntu Luminaなどのデスクトップリミックスが登場していますが、同時にUbuntuはCanonicalが一般向けに移行する際の重要な役割も担ってきました。最高のオープンソースをUbuntu Desktopユーザーが手にすることによって、近年のあらゆる技術革新の大きな波がLinuxデスクトップから生まれています。これこそが、イノベーションを継続的に加速させてUbuntuが先駆者であり続けるために、Canonicalが最高のワークステーション環境の提供に注力している理由です。

それでは、今回のリリースの新機能を見ていきましょう。

シャープな見た目に!

ブートスプラッシュからデスクトップまで、Yaruテーマが刷新されました。ほとんどのオペレーティングシステムベンダーにとって、オペレーティングシステムの個性的な見た目はブランドを確立するための重要な要素です。その点を考慮して、Canonicalは1月にYaruコミュニティチームのメンバー、Ubuntuデスクトップチームおよびデザインチームとデザインスプリントを実施しました。Yaruは、Ubuntu 18.10で初めて導入されました。したがって、Ubuntu 18.04 LTSからアップグレードするユーザーは、この大胆で新しく、紛れもなくUbuntuらしいデザインを初めて目にすることになります。

Yaruには3種類のバリエーションとサウンドテーマがあります。また、デザインスプリントでは、デスクトップへの統合に必要な一部のUIの改善も指摘されました。「Appearance」設定パネルでは、「Light」、「Standard」、「Dark」のウィンドウカラーの切り替えができ、加えてデフォルトの「Yaru Alert Sound」を復元できるようになりました。

また、最新のYaruテーマは、インストーラーのスライドショーとブートスプラッシュにも使用されています。Yaru担当チームは、デスクトップテーマからブートテーマへのスピナーをリマスターし、丁寧にアニメーション化しました。ディスク全体の暗号化を有効にすると、ブートテーマのパスフレーズの入力ボックスが完全にデスクトップテーマと合ったものになります。

Ubuntuでは、ライブセッションの起動時に使用中のメディアの整合性のチェックがデフォルトで行われるようになりました。このチェックは、Ctrl+Cを押すことでスキップできます。この機能を導入したのは、ダウンロードしたインストールメディアの破損によるインストールの失敗が最も一般的なエラー条件の一つであるためです。

ここ数年、Ubuntuの各リリースには新しい動物のマスコットが採用されてきました。通常Canonicalのデザインチームは、新たに作成された動物でテーマをしますが、それは今回のリリースでも同様です。ただし、Ubuntu 20.04 LTSのマスコットには名前があります。フェリシティです。

新しいUbuntuデスクトップのリリースの慣例として、フェリシティはデフォルトの壁紙で使用されています。ただし、熱心でクリエイティなブユーザーはストックをいじって楽しんでいるようです。Canonicalでは、独自のリミックスを作成できるように開発サイクルの初期からSVGファイルをコミュニティに提供しています。Ubuntu Discourseのスレッドをご覧ください。

マスコットの壁紙の他にも、追加の壁紙として美しい写真が何点か収録されています。写真はどれも著作権使用料無料の写真共有サイトであるUnsplashから選ばれています。どの写真も、焦点に着目(focal)しています。

Hardy Heronの復活!

今年の初めに、Ubuntu Twitterアカウントを使ってUbuntuリリースの15周年、そして各リリースのデスクトップ背景を記念した「World Cup of Wallpapers」を企画しました。エキスパートによる精鋭チームが、デフォルトのデスクトップの壁紙から最も象徴的なもの、人気があるもの、賛否両論あるものを選び抜きました。

CanonicalのTwitterのフォロワーが対戦方式で各ラウンドの結果を決めました。そして、ほぼ予想通り、人気の高いHardy Heronの壁紙がトップに選ばれました。優勝を祝して、この壁紙の4Kバージョンが思い出としてひそかにインストールされています。

GNOME 3.36

Ubuntuはバージョン17.10以降、デフォルトのデスクトップ環境としてGNOME Shellを提供してきました。Ubuntu Desktop担当チームは、アップストリームGNOMEの開発者やより幅広いコミュニティと緊密に協力し、安定したGNOMEデスクトップ環境をユーザーに提供しています。これにより、Debianプロジェクトと連携し、パッケージを最新のGNOMEソフトウェアパッケージに更新しました。

GNOME 3.36には、ユーザーに見える変更(機能の追加、ユーザーのワークフローの改善)と、見えない変更(全面的なパフォーマンスと安定性の向上)の両方があります。

新しい「Do Not Disturb」のトグルは、作業に集中したいユーザーに歓迎される追加機能となるでしょう。新しいログイン画面とロック画面は、シンプルで美しく、デスクトップ背景をぼかした上にすっきりとしたUIが組み込まれています。 

サスペンドのオプションもステータスメニューからすぐにクリックできるようになりました。アプリのグリッドを整理したいユーザーは、今回の新しいリリースではより管理しやすくなったアプリフォルダを活用できます。

Ubuntu 20.04 LTSにアップグレード、またはこのバージョンをインストールする際は、アップストリームGNOME 3.36リリースの紹介動画をご覧ください。

加えて、近年のGNOMEのリリースの慣例となっているように、ウィンドウや概要のアニメーションJavaScriptの実行マウスの動作ウィンドウの動作(低遅延に対応)のアニメーションの円滑化とCPUの使用率の低減による、パフォーマンスの改善が行われています。

重要なアプリ

Ubuntu DesktopはGoogle G SuiteやMicrosoft Exchangeと統合されています。また、オープンスタンダードにも対応し、ユーザーはベンダーによる囲い込みを回避できます。そのため、プライバシーを重視した新機能が継続して提供するFirefox 75がデフォルトのウェブブラウザとして搭載されています。 

Thunderbirdは、デスクトップから電子メールに簡単にアクセスできる人気の高い電子メールアプリケーションです。使用しているメールサービスを問わず、Microsoft Exchange、Gmail、Hotmail、POPまたはIMAPメールのような電子メールに対応しています。今回のUbuntuのリリースにはThunderbird 68.7.0が含まれています。

生産性向上アプリケーションの締めくくりはLibreOffice 6.4です。この無料の高機能オフィススイートにより、多くの作業を簡単に、短時間で、スマートに処理できます。すっきりとしたインターフェイスと豊富な機能を備えた各種ツールは、創造性の発揮や生産性の向上に役立ちます。

ティア1 OEMに対応

Ubuntuは企業や政府、公共、教育分野まで幅広く使用されています。これらの分野からの組み込み済みハードウェアのニーズに応えるため、CanonicalはDell、HP、Lenovoとの緊密な協力に注力しています。デスクトップ版Linuxのすべてのユーザーに付加価値を提供するために、CanonicalがOEMパートナー向けに行っている取り組みを紹介します。

Ubuntu Desktop 20.04 LTSを皮切りに、Ubuntuの一般リリースをインストールすることによって認定済みのデバイスエクスペリエンスを得られるようになりました。認定済みハードウェアにインストールすることで、プリロードされた工場出荷時イメージのように、デバイスに固有の有効化機能が自動的にインストールおよび設定されます。

ブート中にベンダーのロゴが保持される新しいブートスプラッシュについてはすでに紹介しましたが、これはOEMパートナーから要望のあった変更でした。また、OEMパートナーの今後のデバイスで使用されるDMICやSoundWireに対応するため、BlueZ 5.53、PulseAudio 14.0、Sound Open Firmwareをパッチとともに提供しています。

現在では多くのデバイスに指紋リーダーが搭載され、ユーザーセッションのロックを解除するための一般的な方法になっています。Canonicalはlibfprintプロジェクトとの協力により、バックエンドとUI(近日発表)を改良し、ハードウェアベンダーが新しい生体認証に簡単に対応できるようにしています。


X11分数スケーリングはUbuntu 19.04から使用できるようになりましたが、ユーザーに対してUIでは表示されていませんでした。Ubuntu 20.04 LTSでは、トグルを追加してUbuntuユーザーがディスプレイの設定で簡単に分数スケーリングを有効にできるようにしました。以前からあるWaylandと同様に、100%と200%の間を25%単位で調整できます。この機能は、OEMパートナーが提供する先進的なHiDPI搭載ノートPCの場合に特に便利です。

処理機能とゲーム機能の強化

人工知能(AI)と機械学習(ML)はデータエンジニアリングの新しい分野であり、企業での導入が急激に増えています。Ubuntuは、開発者用のワークステーションからラック、クラウド、エッジまで、企業における人工知能の構想を支援しています。

Ubuntu Desktopは、最新のツール、ドライバ、ライブラリを提供することにより、ノートPCやワークステーションでのデータサイエンスを強化します。データサイエンティストは、ハードウェアアクセラレーションを用いたベアメタルKubernetesのラックやパブリッククラウドでのトレーニングを行う前に、Kubeflowを使用してハイエンドのUbuntuワークステーションで独自のAIモデルを開発することができます。Ubuntuは、シリコンバレーからウォールストリートまで、またFortune 50企業でもスタートアップ企業でも、あらゆる企業における機械学習の標準となっています。

GPUをエンターテインメントや娯楽の用途に使用するユーザー向けにもいくつかの有益な機能があります。i386(32ビットIntel)はリリースアーキテクチャとしての提供は終了していますが、UbuntuではSteam、Wine、Lutrisの要件に対応するため、過去のゲームやアプリケーションの大量のバックカタログや、32ビットIntelのライブラリを保持しています。また、UbuntuのSteamパッケージも20.04 LTS向けにアップデートされており、幅広いコントローラーやVRデバイスに対応しています。

Feral InteractiveのGameModeというパフォーマンス設定ツールがデフォルトでインストールされています。GameModeは、ゲームで最適な設定を一時的にホストOSやゲームプロセスに適用するように要求できるデーモンです。現時点で、GameModeによって最適化できるのは、CPUガバナー、I/O優先度、プロセスのnice値、カーネルスケジューラー、スクリーンセーバー抑止、GPUのパフォーマンスモード(NVIDIAおよびAMD)、GPUのオーバークロック(NVIDIA)、カスタムスクリプトです。

ハイブリッドグラフィックスを搭載している場合は、GNOME Shellから「Launch on Discrete GPU」のメニュー項目を選ぶと、ディスクリートGPUを使ってアプリケーションを起動できるようになりました。この機能はAMDとNVIDIAの両方のGPUに対応しています。

GNOME Shell Launch using Dedicated Graphics

ライブストリーミングや動画作成を行うユーザー向けには、FFmpegがnvencとVA-APIに対応しています。これは、デコード、エンコード、フィルタリングを実行するGPUの機能であり、処理負荷の高いタスクをCPUからオフロードできます。OBS StudioやShotcutなど、nvencを使用できるアプリケーションでは、これらのハードウェアエンコーディング機能も活用できます。

ZFSおよびzsys

Ubuntu 19.10では試験的にZFS形式のファイルシステムへのデスクトップ版のインストールに対応しました。Ubuntu 20.04 LTSでは、ネイティブのハードウェアによる暗号化、デバイスの削除、プールのトリム、パフォーマンスの向上を取り込んだ新しいZFSを提供しています。まだ試験的ではありますが、zsysの追加とともにこの機能を構築しています。

zsysは、ZFSとUbuntuの間に使用するCanonical独自の統合ツールです。ユーザーがソフトウェアのインストールやシステムのアップデートを行うと、zsysによって自動的にスナップショットが取得され、アップデートに失敗した場合にロールバックできます。スナップショットはGRUBのブートメニューにあります。また、将来的には追加的なバックアップ機能の基盤にもなります。

Ubuntu 18.04 LTSからのアップグレード

多くのユーザーはLTS(Long Term Support)版を好んで選択していることでしょう。Ubuntu 18.04 LTSから20.04 LTSへアップグレードするユーザーは、大幅な変更を目の当たりにすると思います。新しいLTSには、その間のUbuntu 18.10、19.04、19.10で追加された全機能のロールアップが含まれています。いくつかの注目点を紹介します。

GNOME Diskでは、ディスクのフォーマットの際に、オープンソースのディスク暗号化ソフトであるVeraCryptの使用に対応しています。デスクトップのズームとウィンドウのプレビューのパフォーマンスが強化されています。バグレポートツールでは、ユーザーの作業の中断を少なくするため、アプリケーションで不正な動作が実行された場合に自動的にクラッシュレポートを送信できるようになりました。

GNOMEのサウンド設定パネルが改良され、マイクやスピーカー機器を簡単に管理できるようになりました。トラッキング機能が追加され、デスクトップのファイル検索機能が向上しました。Alt+Tabとドックウィンドウのプレビューの操作性が改善され、さらに直観的にアプリケーションを切り替えられるようになりました。「Safe Graphics Mode」が追加され、予期しないエラーが発生した場合にデバッグを実行できます。

CPU使用率の低減、スクロール時の入力の遅延の低減、多くのグラフィックカードでの出力の遅延の低減により、デスクトップのパフォーマンスが向上しました。より円滑で、より高いフレームレートが常に得られるようになっています。DLNAによって動画をスマートTVやその他の対応デバイスで共有できます。NVIDIAのグラフィックドライバがインストールメディアに含まれているため、インストーラーから直接インストールできるようになりました。NVIDIAのドライバの起動時間も改善されました。

最高のオープンソース

Ubuntuは最高のオープンソースで構築されています。開発者やユーザーはUbuntu Desktopによって、そのすべてをあらゆる環境で手にすることができます。今回のリリースにおけるその他の新しいソフトウェア、フレームワーク、言語のエコシステム、改善点の詳細は、Ubuntu 20.04 LTSリリースノート(英語)をご覧ください。

Ubuntu Desktop担当チームに代わって、高品質でオープンソースのデスクトップシェル、そして協力しやすい環境を提供してくださったGNOMEの開発者コミュニティのみなさまに感謝いたします。また、Ubuntuの開発者コミュニティ、賛同者、ドキュメント作成者、デザイナー、翻訳者、テスター、支援者のみなさまがいなければ今日のUbuntuの成功はありませんでした。心より御礼を申し上げます。

最後に、ユーザーのみなさま、ぜひともUbuntu Desktop 20.04 LTSをお試しください。作成の過程で私たちが感じていたように、楽しんで使っていただけることを期待しています。


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